建設業向け顧問サービス

1.建設業を取り巻く状況

建設業の皆様へ

建設業は国内総生産の2割弱に相当する建設投資を担うとともに、全就業人口の約1割を擁する我が国の基幹産業です。

もっとも、業界の傾向としては慢性的な人手不足の状態にあり、全産業平均と比較して年300時間以上の長時間労働となっているのが現状です。

このような状況を受けて、国土交通省は、長時間労働の是正・給与社会保険の確保・生産性向上などを図るために「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定し、建設業の働き方改革に乗り出しております。

また、建設業界は、一つの工事に関して、施主、元請、下請、孫請といった複数の関係者が関与する構造となっているため、自社以外の経済的事情や自社以外の紛争の影響を受けやすい業界とであり、例えば、元請業者が倒産の危機に瀕すると下請業者は忽ち請負代金を回収できなくなるおそれが発生します。

その他にも建設業は、業界の慣行として、詳細な工事請負契約書を作成しないことも多く、そのことが原因で請負代金の支払いや追加工事に関する代金を巡って紛争に発展しているケースがよく見受けられます。

よって、建設業を営む経営者は、従業員の労務管理に万全を尽くす必要があるほか、他社の経済的事情に影響されないように、常日頃から自社を守る契約書等を作成するなどの自衛手段を講じることが大切になります。

当事務所は中小企業法務全般の経験を活かし、建設業に特化した顧問サービスを展開しております。工事請負契約書の作成や請負代金の回収、労務問題をサポートいたします。

以下、建設業によく発生する法的問題・法的リスクを紹介したいと思います。

2.建設業界の抱える法的問題やリスク

(1)従業員からの残業代請求

上記のとおり、建設業界は慢性的な長時間労働の構造となっています。

一方で、勤怠管理をタイムカードによって行っていない会社も多いのが実情です。

このような状況で、従業員から残業代の請求があった場合、労働時間の算定は従業員の主張がそのまま認められてしまう可能性があり、会社は不測の残業代を支払わなければならないケースも散見されます。

また、会社としては、“下請”として仕事を依頼していた作業員から、自分は会社に雇用されている労働者にあたるとして残業代を請求される場合もあります。

会社としては外注の作業員だと思っていても、労働法上は労働者に該当することもありますので注意が必要です。

更に、一定額の固定残業代を支給しているので、これで残業代を請求されることはないと安心している場合もありますが、固定残業代として有効であるためには「区分明確性」などの要件を満たす必要があります。

逆に、固定残業代と認められない場合は、残業代の支払義務が残るのみならず、基礎賃金の額が上がり、残業代の金額が増加することがありますので、固定残業代の運用については注意が必要です。

就業規則についても、形式的なものではなく、会社の実情にあったものを作成するように心掛けるべきです。

(2)労働災害発生のリスク

従業員が現場作業や現場への行き帰りにおいて事故に遭った場合は、労災申請の対象となります。

会社が労働基準監督署への報告を怠った場合、いわゆる「労災隠し」として処罰の対象となります。

また、労災の対象となるのは正社員のみならず、パート従業員やアルバイトの方もその対象となりますので注意が必要です。

次に、労災の決定が下りた場合であっても、労災の支給には慰謝料等の金員が含まれていないため、当該労働者や遺族の方々から民事上の損害賠償請求を提起される可能性があります。

会社の業務内容によっては、このような場合に備えて、従業員が受傷した場合の保険に加入しておくことも検討しておくべきでしょう。 更に、近時はうつ病などの精神的疾患を抱える従業員も増加しています。

このような従業員に対しては健常な従業員よりも高度の安全配慮を行うことが要求される場合があり得ますので付言しておきます。

(3)問題社員対応

建設業界の経営者からは、能力不足の従業員、無断欠勤等の従業員を退職させたいけどどうしたらよいですかという声もよく頂きます。

もっとも、安易に解雇通知をしたりすると、後日労働審判を申し立てられ、高額の解決金を支払わなければならない事例も散見されます。

従業員に対して退職を求める場合、それ相応の準備と法的知識が必要になりますので、法律の専門家からのアドバイスを受けながらことを慎重に進めることが重要です。

(4)コンプライアンス上のリスク

下請業者の作業員に対して、業務の細かい指示を出したり、出退勤・勤務時間の管理を行ったりしている場合は、労働者派遣法に違反する偽装請負にあたる可能性がありますので注意が必要です。

行政庁から是正勧告があるだけでなく、税務上のリスクが発生する場合もあります。

(5)工事請負契約書の作成

 工事を受注する度に契約書を作成されていますでしょうか。インターネットなどに掲載されている契約書を真似るだけではいざという時に役に立たないことがあります。万が一のために備えて御社の状況に適合した契約書を作成しておきたいものです。

 ここでは「一般的な工事請負契約書のひな型」を掲載(左記をクリックしてください)しますが、この契約書も万能ではありません。当事務所にご依頼頂ければ、御社の状況に適合した契約書を作成いたします。

(6)請負代金の回収

 元請業者や施主が請負代金を支払わない場合、その状況に応じて適切な回収手段を講じる必要があります。

⑴ 仮差押え

相手方の財産を保全する制度です。この手続きの中で早期に代金の回収を実現できることもあります。

⑵ 裁判(債権者代位)、強制執行

訴訟を提起し、請負代金の回収を目指します。但し、一般的に時間がかかります。

⑶ 商事留置権(商法521条)

御社が下請業者で工事現場(建物)の占有を有するような場合、施主に対して商事留置権を主張して代金の支払いを求めることができる場合があります。

中小企業倒産防止共済制度に加入している場合は、一定の要件のもと、貸付けを受けることもできます。

(7)使用者責任(民法715条)

 工事の過程で従業員が第三者に損害を与えた場合、会社がその損害を賠償しなければならないケースがあります。同じように下請業者が発生させた損害について元請業者に責任が発生するケースもあります。

 

3.当事務所の取り組み

当事務所は、複数の建設業の顧問をさせて頂いている経験から、特に建設業の分野については豊かな経験を有しております。

建設業界においては、上記のような法的リスクが存在しますが、当事務所はそのすべてに対応することができますので、お気軽にお声掛けください。


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